GoogleAdsense での確定申告の書き方
はじめに
GoogleAdSense の確定申告についてです。
ただし、次の内容は対象外です。(詳しく解説している他サイト等を参照してください)
- 確定申告: 必要な人 or 不要な人
- 申告方法: 青色申告 or 白色申告
- 所得区分: 事業所得 or 雑所得
- 計上基準: 発生主義 or 現金主義 or 実現主義
- 按分計算
- 減価償却
※わからない用語があれば、別途調べておいたほうが良いです。
※当記事の主な対象は、確定申告する所得税の雑所得です。
所得の内訳書
所得の内訳書の記載例は次の通りです。
- 所得の種類
- 「雑所得」
- 種目
- 「その他」
- 「広告収入」
- 「その他」
- 業務に該当しますか?
- 「はい」
- 現金主義による所得計算の特例の適用を受けますか?
- 「いいえ」
- 詳細は、下記「現金主義による所得計算の特例」参照
- 収入金額
- 1年間の収入合計
- 必要経費
- 1年間の経費合計
- ドメイン費用
- サーバー費用
- ネット接続費用
- PC 費用
- etc...(説明できる範囲でほどほどに…)
- 1年間の経費合計
- 源泉徴収額
- 未記入(記載なし)
- 詳細は、下記「源泉徴収は発生しているか?」参照
- 所得の生ずる場所又は法人番号
「8 Marina View Asia Square 1 #30-01 Singapore 018960」「Mapletree Business City II 70 Pasir Panjang Road, #03-71 Singapore 117371」- 「法人番号:4700150006045」
- 詳細は、下記「契約者はだれか?」参照
- 報酬などの支払者の氏名・名称
- 「Google Asia Pacific Pte. Ltd.」
- 詳細は、下記「契約者はだれか?」参照
※収入、経費の証明書の添付は一般的に不要です。
ただし、税務署から書類提示を求められるため、手元に保存する必要があります。
令和4年から前々年の雑所得の収入金額が1000万円超の場合、添付義務が発生します。
詳細は、下記「令和2年の税制改正」参照
契約者はだれか?
契約会社
「報酬などの支払者の氏名・名称」「所得の生ずる場所」を記載するために契約者の会社名と住所が必要になります。ただし、 GoogleAdSense の場合、 Google 日本法人(グーグル合同会社)と単純に契約しているわけではないため、いろいろと面倒です。
GoogleAdSense と契約している場合、契約先の会社は次の場所に記載されています。
- [GoogleAdSense 管理画面] > [利用規約]
次のいずれかの契約先の事業体が書かれているはずです。
- Google LLC
- Google Ireland Limited
- Google Advertising (Shanghai) Company Limited
- Google Asia Pacific Pte. Ltd.
筆者の環境では、利用規約の序文に『「Google」とは、〇〇を意味し、』というような記述で記載されていました。
以降は、「Google Asia Pacific Pte. Ltd.」を前提にして記載します。(契約先の事業体は、地域毎に異なるようなので日本在住であれば同一の会社と契約しているものと思われます。ただし、個々人で契約内容が異なる可能性もあるため、ご自身で契約内容を再度確認してください)
※契約先の事業体の税務情報を確認する - Google AdSense ヘルプ
契約会社の所在地(Google Asia Pacific Pte. Ltd.)
次は、契約会社の所在地はどこかです。
AdSense ヘルプに記載があるため、次に引用します。
Google Asia Pacific Pte. Ltd.
Mapletree Business City II
70 Pasir Panjang Road, #03-71
Singapore 117371
"契約先の事業体が Google Asia Pacific Pte. Ltd. の場合 - AdSense ヘルプ"
最終閲覧日: 2023年01月11日
※Google Asia Pacific Pte. Ltd. の情報|国税庁法人番号公表サイト
上記の通り、契約会社の所在地は「Mapletree Business City II 70 Pasir Panjang Road, #03-71 Singapore 117371」です。
過去の契約会社の所在地(Google Asia Pacific Pte. Ltd.)
法人情報を確認する限り、2016年09月01日に所在地が上記の所在地へ変更されています。
ですが、 AdSense ヘルプ上には最短でも2022年04月05日(Wayback Machine 参照)までは次の旧所在地が記載されていたようです。
Google Asia Pacific Pte. Ltd.
8 Marina View
Asia Square 1 #30-01
Singapore 018960"契約先の事業体が Google Asia Pacific Pte. Ltd. の場合 - AdSense ヘルプ"
最終閲覧日: 2020年03月02日
※Google Asia Pacific Pte. Ltd. の情報|国税庁法人番号公表サイト
e-Tax の入力(全角28文字以内に収める)
会社名は、29文字ですが、スペースを削ることで25文字にできます。
GoogleAsiaPacificPte.Ltd.
所在地は、法人番号が許可されているため、法人番号を記載します。
4700150006045
※下記のサイトで法人番号を確認できます。
Google Asia Pacific Pte. Ltd. の情報|国税庁法人番号公表サイト
※印刷して手書きで所在地を記載することも一つの方法です。
源泉徴収は発生しているか?
利用規約の源泉徴収に係る部分を次に引用します。
お客様に対する支払いについて源泉徴収を行う義務が Google にある場合には、Google はこれをお客様に通知し、源泉徴収額を控除後、支払いを行います。Google は、このような税金の納付を行った場合には、税金納付書の原本もしくは認証付写し(または税金納付のその他の十分な証拠)をお客様に提供します。
"Google AdSense - 利用規約"
最終閲覧日: 2021年02月22日
上記の通り、 Google 側で源泉徴収した場合、通知されるとあります。もしも、源泉徴収が発生した場合、何らかの通知を受け取っているはずです。ですが、筆者の知る限り通知を受け取っていません。なので源泉徴収は発生していないものと考えられます。
消費税は発生するか?
上記の通り GoogleAdSense との契約は、シンガポールにある外国法人との契約です。 Google の日本法人(グーグル合同会社)との契約ではありません。そのため、国外取引の扱いとなり消費税は、不課税になります。なので、消費税は発生しません。
※国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について|国税庁
補足(平成27年度税制改正)
平成27年度税制改正の消費税法の一部改正が影響しています。改正前後でルールが変更されていますが、 GoogleAdSense との契約で消費税が発生しない結果に変更はありません。
※Google Adsense(アドセンス)の消費税の取り扱い
補足(GoogleAds)
GoogleAdSense とは異なり、 GoogleAds(旧GoogleAdWords)は、2019年4月から契約先がグーグル合同会社(Google の日本法人)に変更され、消費税が発生するように変更されています。
※2019年4月以降グーグルアドワーズ広告費の消費税計算は通常通りに
※「GoogleAds」は、広告出稿サービスです。
「GoogleAdSense」は、広告配信サービスです。
補足(源泉徴収票)
源泉徴収票は、「給与所得」として確定申告書に記載した額が、適正なことを証明するための書類です。アドセンスは、給与所得ではないため、源泉徴収票はありません。
Google への税務情報の送信
日本の確定申告とは直接関係はありませんが、 GoogleAdSense の税金に関する重大な問題であるため、触りだけ触れておきます。
GoogleAdSense のお知らせ欄に2021年3月10日から「米国での確定申告に備えましょう」が掲載されています。米国の話であり日本で活動しているため関係ないと考えてしまいがちですが、大間違いです。 YouTube の GoogleAdSense から米国外で収益を得ている場合、特に影響を受けます。具体的には、収益全体の 24% を源泉徴収されます。ただし、適切な申請をした対象の範囲外の方であれば、源泉徴収額を 0% にできます。申請の有無によって収益が大きく異なるため、適切に処理ことが重要です。
具体的な申請方法は、既に多くの紹介記事があるため、そちらを参照ください。
「GoogleAdSense 米国 源泉徴収」などで検索すれば見つかるはずです。
現金主義による所得計算の特例
発生主義・現金主義どちらで所得計算するのかで選択してください。発生主義で所得計算できるのであれば、発生主義(「いいえ」を選択)でよいと考えます。
確定申告では、一般的に「発生主義」で処理します。
特例で「現金主義」で処理することもできます。
企業などでは、主に「実現主義」で処理します。
「発生主義」は、商品を相手に引き渡したときに売上を計上します。
(例:広告を表示して、売上が確定したとき)
「現金主義」は、現金を受け取ったときに売上を計上します。
(例:Google からお金が銀行口座に入金されたとき)
「実現主義」は、会計期間内の売上を計上します。
(例:数年に及ぶ契約の売上がある場合、売上全体の今年分の売上のみ計上する)
令和2年の税制改正
令和2年の税制改正では、「雑所得」に関して次のような改正が行われました。(確定申告の変更は令和4年分からです)
- 前々年の雑所得の収入金額が300万以下の場合、当年は現金主義で計上できる
- 前々年の雑所得の収入金額が300万超の場合、当年の領収書等は5年間保存義務がある
- 前々年の雑所得の収入金額が1000万超の場合、当年の確定申告書には収入・経費の内容を記載した書類の添付義務がある
※改正後の初年度(令和4年)の前々年は、令和2年です。
※令和2年度税制改正大綱 | 政策 | ニュース | 自由民主党
41ページ「(6) 雑所得を生ずべき業務に係る所得の金額の計算や確定申告について、次の見直しを行う。」参照